不機嫌の真実
2012-01-23 Mon 10:39:03
「私がとるのは当然だ」。芥川賞を受賞した田中慎弥さんは、シャーリー・マクレーンの言葉を引用して、心境をこう語った。候補5回目で受賞できたことを、「うれしいです」と素直に笑顔で語れるようだったら、彼は作家になってなかったのではないかと思った。いかにも神経質な風貌、不機嫌な態度、誰も寄って来るなといわんばかりのガードぶり。「誰に受賞の喜びを伝えたいですか」とステレオタイプな質問を投げかける記者に、「母です」。「人前に出るのは苦手のようですが、なぜ、講演会は行うのか」と変化球を投げる記者に、「ギャラが出るから」。徹頭徹尾、こんな調子で会見は終了した。彼は、会見前にワインを2杯飲んでいたそうだ。同時受賞した円城さんは、彼いわく「とても丁寧な会見をしていた」ため、プレッシャーもあったかもしれない。サービス精神ゼロで臨みながらも、その壁を突破してくれる質問が出たら、彼は喜んだかもしれない。受賞作の題名は、「共食い」。残念ながら、共食いできる記者は、彼の前には現れなかったようだ。
